テキサス州ヒューストンに住んでいて、日本からの訪問者が来ると、ほぼ確実にお連れするのが、ヒューストン一の観光地であるNASAのJohnson Space Center (ジョンソン宇宙センター)だ。私自身10回以上訪問しているはずで、何度も訪問すると、ここをより楽しむ方法がわかってくる。今後訪問を検討している方のために、以下で紹介してみたい。
まず頭に入れておいて頂きたいのは、全米に10施設あるNASAの主な施設の中で、ジョンソン宇宙センターは主に、ミッションコントロールと宇宙飛行士の訓練を担っていることだ。『アポロ13』等の映画で、宇宙飛行士が「ヒューストン、ヒューストン、応答して下さい」といった通信を行っていたのが、ここにあるミッションコントロールセンターだ。一方、宇宙飛行士の訓練施設については、最近では漫画『宇宙兄弟』で登場することでイメージがある方も多いだろう。一方、スペースシャトルの打ち上げ自体はフロリダ州にあるケネディ宇宙センターで行われていて、ここでは見れないので悪しからず。
さて、ジョンソン宇宙センターを訪問する者はまず、センターに併設された観光用施設であるSpace Center Houstonに入ることになる。駐車場に到着すると、飛行機の上に乗っかったスペースシャトル、インデペンデンスのレプリカに出迎えられ、いよいよ期待が高まる。
そしてスペースセンターの内部に入ると、迫力の映像が楽しめるシアターやNASAの宇宙開発に関する展示品を集めたギャラリー、宇宙を体験できるアトラクション等が目の前に現れ、どこから行こうか迷ってしまう。私としては、まず”Destiny Theater”に向かうことをおススメする。NASAの宇宙開発の歴史がまとめられた映画であり、お連れする訪問者がNASAや宇宙開発に余り詳しくない時に重宝する。そして、歴史といっても、決して退屈な記録映画風ではなく、”Human Destiny”(人類の運命)というタイトル通り、非常にドラマティックで迫力のある映像となっており、見る者を飽きさせない。特に、映画の中盤のある場面では、ドキッとさせられること間違いなしだ。
その後、特に時間がない方は、スペースセンター内を最も奥まで進み、トラムツアーに参加することをおススメする。他のアトラクションはあくまで観光客向けに作られたものだが、このトラムツアーでは、トラムに乗って、実際にNASAの職員が勤務しているジョンソン宇宙センター内に入っていくことができる。赤と青の二種類のツアーがあり、一方はミッションコントロールセンター、もう一方は宇宙飛行士の訓練施設に行けるので、興味に応じて選んで頂きたい。どちらのツアーでも、最後にロケットの展示が集まるロケットパークを訪問するが、アポロ計画時代に使用された超巨大なサターンVロケットは必見だ。
また、スペースセンター内の一角には、これまでの宇宙飛行士の写真を時系列で並べたギャラリーがあり、いくつかの写真には日本人宇宙飛行士も含まれているので、時間がある方は探してみるのも楽しい。
最後に、スペースシャトル計画も終わり、NASAの宇宙開発も停滞してしまったと思う方もいらっしゃるかもしれない。しかし、スペースセンター内に展示されているのは、決してアポロ計画やスペースシャトル計画等の過去の宇宙開発の資料だけではなく、人類の未来を担う将来の宇宙開発計画に関する展示もあるのだ。特に、NASAの次世代宇宙船である”Orion”の展示は好奇心をくすぐられる。
10回以上も訪問しているジョンソン宇宙センターだが、決して飽きることはない。来るたびに様々な展示から宇宙開発に携わる人々の情熱に触れ、翌週の仕事を頑張ろうという気にさせられるのだ。ヒューストンを訪れる方には是非ともこのヒューストン一の観光地を訪問して頂きたい。
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