ビエンチャン近郊の穴場観光地-ラオス ナムグム湖 旅行記

今回はアメリカ南部に関する当ブログの番外編として、ラオスへの旅行記を書いてみたい。

ラオスは東南アジアで唯一海に面していない内陸国だ。そんな地理的特性からあなたはラオスは水との関わりが少ない場所だとイメージするかもしれない。しかし、決してそんなことはない。ラオスの人々は水と密接な関係を保ちながら生きている。ラオスの首都ビエンチャン近郊には、あまり日本では知られていないが、そんなラオスの人々の生き方が垣間見える観光スポットがある。

ビエンチャンから北へ約90km、車で約2時間、のどかな農村風景が広がる道を進んでいくと、突如として視界が開け、見渡す限りの視界一面に湖が広がる。ここが巨大な人造湖、ナムグム湖だ。

ナムグム湖のほとりにはボート乗り場があり、大きさと所要時間に応じて価格の異なるボートをチャーターできる。このボートがすごいのは、ボート乗り場に併設するレストランで注文した料理をボートの上に並べて食べることができることだ。アルコール類も楽しめるので、気分はまるで隅田川の屋形船の様。実際、週末になると、ビエンチャンの人々が親族や友人で集まって、ボートの上で団らんをして過ごすという。食事のメニューには湖から獲れた色々な魚が含まれている。

湖には水位に応じて大小様々な島ができており、興味深いことに湖の中心部には刑務所やドラッグ中毒者の更生施設まであるという。通常のボートのコースには、島全体が丸々土産物屋となっている島への上陸が含まれており、地元の人々の商魂のたくましさを感じさせる。

この巨大な湖は1960年代、ラオスがまだ内戦の最中にあった時期に始まったナムグムダムの建設プロジェクトによって誕生したものだ。当時、経済的に貧しく、電力も不足していたラオスにおいて、メコン川の支流であるナムグム川をせき止めるダムと水力発電所を作ることで電力を生み出そうとしたもので、プロジェクトには日本のODAや日本企業も参加している。その後、何回かの拡張を繰り返すことで、現在ナムグムダムの水力発電所から生み出される電力はビエンチャン近郊地域の電力需要をカバーするとともに、メコン川を挟んだ対岸にあるお隣のタイにも輸出され、ラオスの貴重な外貨収入源となっている。

そう、ラオスの人々にとって、水がもたらす恵みは不可欠のものとなっているのだ。

メコン川は雨期の間に降り続く雨が集まって、遠くカンボジアやベトナムまで続く大河になる。左右に蛇行しながら進むメコン川の姿は古くからラオスの人々に大きな蛇、竜の神の存在を暗示してきた。仏教において、釈迦の守護神であるとともに天気を操り、干ばつや雨をもたらす竜の神と信じられているのがナーガだが、ラオスの寺院では水の恵みを求めてか、たくさんのナーガの像を見ることができる。

日本では今年、外交関係樹立60周年を記念して、ナムグム湖を舞台とした日本とラオスの合作映画、「ラオス 竜の軌跡」も公開された。ビエンチャンを訪れた際には、ぜひナムグム湖にも足を延ばしてほしい。