これまでテキサスの料理として、こだわりのハンバーガーやテキサス・バーベキューを当ブログで紹介してきたが、日本では食べられなさそうなアメリカ南部の料理として特徴的なのは、やはりCrawfish(ザリガニ)だと思う。男性なら、子供の頃に小川でザリガニを釣った経験があるかもしれないが、ここアメリカ南部でそのザリガニを調理して食べるのである。そして、今年もアメリカ南部にザリガニのシーズンが到来した!
ザリガニは元々ケイジャン料理と呼ばれる、テキサス州の東隣のルイジアナ州南部の料理だ。18世紀、新大陸アメリカにおけるイギリスとフランスの植民地戦争の結果として、フランス系住民の一部がルイジアナ州の南部に移住し、自給自足のため、ザリガニ、ワニ、カエルなど、土着の食材を使った独特の料理体系を作り上げる。時を経て、そうしたケイジャン料理はテキサス州にも広がり、特にザリガニは晩冬から春にかけての風物詩となっている。
シーズンが近づくと、地元の新聞Houston Chronicle電子版の2016年1月7日付の記事Crawfish are back in Houston, and early to boot, but be wary of size(ザリガニがヒューストンに帰ってきた。始まるのは早いが、大きさには注意)の様に、地元の人々は、養殖されているザリガニの成長の具合を話題にする様になる。同記事によると、ヒューストンでのザリガニシーズンの始まりは、通常、1月下旬から2月中旬くらいだと言う。それ以前にも店頭にザリガニは並び始めるが、まだまだ大きさが小さくて食べにくい。一方、シーズンの終わりは感覚的には4月下旬くらいで、その時期を過ぎるとザリガニが成長し過ぎて、ゆでても硬くて美味しくない。
アメリカ南部に住んでからの3年半で、何度もザリガニを食べる機会があったが、最近生粋のケイジャンであるルイジアナ出身の知人に連れて行ってもらったBayou City Seafood And Pastaというレストランが個人的には最も美味しいと思う。
ザリガニは重量を指定して注文する形式になっており、私は通常、半ポンド(約230g)を注文するのだが、知人からは「とりあえず2ポンドくらい注文するよな。」と言われ、驚きながらも、プロからのアドバイスなのだからと思って従う。しばらくして、バケツ一杯に入れられたザリガニが運ばれてくる。付け合わせのジャガイモとトウモロコシも豪快だ。
初めはこれだけの量を食べられるか不安だったが、このレストランのオリジナルスパイスが効いたザリガニは絶妙な味付けで、食べる手が止まらず、バケツの中がどんどん少なくなっていく。ザリガニ用のスパイスには通常、塩、コショウ、タマネギパウダー、ガーリックパウダー、レモンジュースなどがブレンドされるが、知人によると、ケイジャンの家庭にはどこでもその家オリジナルのスパイスのレシピがあるのだという。
また、ザリガニの食べ方としては、まず頭の部分を取り、次に背中の部分を剥いて中の身を取り出して食べる。日本でカニを食べる場合と似て、食べるのに地道な作業が必要なため、自然と無口になってしまう。また、カニと比べても食べれる部分が小さいので、上記の様にシーズンの初期にまだザリガニのサイズが小さいうちに食べると、食べられる部分が小さすぎて食べるための労力に見合わない様に感じられる。
シーズンの後半にはCrawfish Festival(ザリガニ祭り)なるものも各所で開かれる。屋外に特大の釜が用意され、何百人もの人々がどんどん茹で上がるザリガニをただただ食べ続けるイベントだ。また、多文化都市ヒューストンにおいては近年、ベトナム系住民達が、ニンニクとバターをふんだんに使ったソースが特徴のベトナム風の味付けのザリガニを出すレストランを続々とオープンさせており、伝統的なケイジャン風の味付けのザリガニに匹敵する様な人気を持つまでに至っている。
アメリカ南部生活の醍醐味として、今シーズンのヒューストンのザリガニシーンにどんなザリガニが登場するか、目が離せない。
↓アメリカ南部情報のブログランキングに参加しています。面白かったらクリックして頂けると嬉しいです!
にほんブログ村
「今年もアメリカ南部にCrawfish(ザリガニ)のシーズンが到来!」への1件のフィードバック