Brexitの次はTexit!? テキサスの独立が一部で盛り上がる

EUからの離脱への投票が多数を占めたイギリスの国民投票は現在もイギリスの国内外で大きな波紋を呼んでいる。イギリスの離脱はBrexitと呼ばれていたが、アメリカ南部テキサス州ではBrexitならぬTexitが一部で盛り上がっている。

ツイッターではテキサスのアメリカ合衆国からの離脱を意味する#Texitと呼ばれるハッシュタグが増え、ヒューストンの地元新聞Houston Chronicleの2016年6月27日付の記事Trump says Texas won’t secede if he’s president(トランプは自分が大統領になればテキサスは離脱しないだろうと言った)によれば、そうした動きを受けて、共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ氏までが、「自分が大統領になればテキサスは離脱しないだろう、なぜならテキサスの人々は自分のことが好きだからだ」、と発言したという。

テキサスの独立への動きがイギリスのEU離脱を受けたネット上の一部の盛り上がりのみであれば、このブログで取り上げることはしない。しかし、そうした動きは決して今に始まったことではない。

1990年代後半よりダニエル・ミラー氏を中心としたTexas Nationalist Movementと呼ばれる組織がテキサス独立を目指した運動を活発化し、2013年初めには10万人以上の署名を集めた上で、ホワイトハウスに対してオンライン上での請願をするに至った。2013年1月13日付のNY Timesの記事White House rejects petitions to secede, but Texans fight on(ホワイトハウスは離脱を求める請願を却下した、しかしテキサスの人々は戦い続ける)によると、ホワイトハウス側も、結論はテキサス独立を否定するものとは言え、同請願に対して正式な回答をしている。

もちろん、Texas Nationalist Movementの主張は、テキサスにおいてもごく一部の人々に支持されているのみである。しかし、10万人以上の署名を集め、オバマ大統領の民主党政権も共和党のドナルド・トランプ氏も無視できない存在になっている運動が具体的に何を主張しているのかを見ることは、現在のテキサス社会、ひいてはアメリカ社会を考える上で参考になるだろう。

Texas Nationalist Movementのウェブサイトによると、テキサス独立を求める署名は現在では26万票以上に達し、テキサス独立が必要な理由として次のポイントを挙げている。

・テキサスはテキサス内部で完結する政府を得ることになる。

・テキサス独立はテキサスの人々が欲しているものだ。

・テキサスは自分達で選んだ政府を得る。

・無制限の支出や負債という失敗をした連邦の政策から離れる。

・国境を安全にし、まともな移民政策を作る。

・実体価値に基づく健全な財政政策を実施する。

・テキサスとアメリカ合衆国は政治的、文化的、経済的に異なる道を歩んでいる。

・独立はワシントンの官僚達がテキサスの人々が苦労して稼いだ資金を吸い上げることに終わりを告げる。

独立の同語反復にしかなっていない様なものもあるが、財政や移民に関するいくつかのポイントはドナルド・トランプ氏にも通ずるものがある。その意味では、もし11月の大統領選挙でヒラリー・クリントン氏が当選し、民主党政権が続くことになれば、テキサス独立運動も更に勢いを増すことが予想される。

テキサスの道路を運転していると、アメリカの国旗と同じ高さで、テキサスの州旗であるLone Starが高々と掲げられているが、こうした風景はアメリカの他の州では見られないものだ。また、テキサスの人々は良く、テキサス州はアメリカの州の中で唯一、法的にアメリカ合衆国から離脱する権利を有していると口にする。イギリスのEU離脱も、トランプ氏の躍進も初めは多くの人々が冗談だと思っていたことだった。その点、テキサスの人々が元から有する独立心が何らかのきっかけで大きな政治的動きにつながり得るか、引き続き注目していきたい。

なお、上に引用したNY Timesの記事によると、南北戦争後の1869年に出されたテキサス対ホワイト事件での最高裁判決では、アメリカ合衆国の個々の州は合衆国から離脱する権利を有しないと述べられており、2013年のTexas Nationalist Movementによる請願に対するホワイトハウスの回答にもその判決が引用されている。こうした判例をテキサスの人々がどう捉えているのかも合わせて調べていきたい。

写真はテキサス独立の象徴であるサンジャシントのモニュメントと州の名前を冠した戦艦テキサス。IMG_0124

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投稿者:

Alamo

著者:Alamo アメリカ南部テキサス州に4年間在住。アメリカ南部の魅力を色々な視点から紹介できればと思っています!

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