これぞテキサスの味!ステーキハウス Taste of Texas

カウボーイ文化を色濃く残すテキサス州には、どの町にも数多くのステーキハウスがあるが、我らがヒューストンには、その名も「テキサスの味」というヒューストンを代表するステーキハウスがある。それが、Taste of Texas(テイストオブテキサス)である。

ヒューストンの西側、主要な高速道路であるI-10沿いにあるこのレストランは、毎晩夕方になると多くの人で賑わう。このレストランは予約を受け付けない方針を取っており、到着後30分程度は待つことを覚悟しなくてはならない。但し、待合室兼バーが設けられ、ポップコーンが無料で食べられるなどの配慮もされている。

待ち時間にすっかりお腹を空かせてテーブルに着くと、流石ヒューストンを代表するステーキハウスだけあって、テキサスでは滅多に見ることのない日本語のメニューを渡される。IMG_0160 (1)

このレストランは、Edd HendeeとNina Hendee夫妻が1977年にオープンし、1984年にテキサスで初めて証明書付きアンガスビーフを提供したというだけあって、ステーキの種類が豊富だ。ただ、著者としては、このレストランを初めに訪れた方には、ぜひトマホーク・リブアイ・ステーキに挑戦することをおススメしたい。

日本語のメニューにはこう書かれている。

「ステーキ通の中のステーキ通のお客様にお勧めいたします。プレートから飛び出す14インチ/約36センチ長さの38オンス/約1,077グラムの。お客様はこの最初のトマホークステークを決して忘れることはないでしょう!」

何ともステーキ好きの食欲とプライドをあおる言葉ではないだろうか。このレストランはもう何度も訪問しているが、私は半分以上はこのトマホーク・ステーキを注文している。

そしてさらに嬉しいのは、ステーキを注文後、希望者は店の奥に通され、ケースに並べられた肉の中から、自分が食べる肉を自分で選ぶことができる。実際には専門家でもない限り、どの肉がよりおいしいかを判断するかは困難なのだろうが、ステーキを食べるという課程を一つ一つ体験させてくれるのがテキサスらしい。IMG_1564

 

IMG_1563

肉を選んだ後は、バラエティー豊かなサラダバーでお好みのサラダやパンを選ぶことができ、ステーキが焼き上がるのを待っている間も退屈しない。ちなみに、キッチンで毎日焼き上げているというパンは、このレストランの隠れた名物と言える程おいしいので、ぜひ試してみて頂きたい。

そして十数分後、テーブルの上に待ちに待ったステーキが登場する。このレストランで最大の38オンス(約1,077グラム)のトマホーク・ステーキは「これぞ肉」とばかりに、プレートからはみ出してその存在感を主張している。IMG_1566

だからと言って決して大味ではなく、選び抜かれたアンガスビーフのリブアイは噛む程に柔らかく、肉汁が溢れ出て非常においしい。また、レモンペッパーやブルーチーズバターなどのトッピングも味に広がりをもたらし、大きなステーキでも最後まで飽きることがない。

更にこのレストランがすごいのは、その客がテキサスを初めて訪れたとわかると、カウボーイハットとスカーフを着用させた上で、カウボーイ風の写真を撮り、店を出る前にその写真をプレゼントしてくれるのだ。まさに「Taste of Texas」という名前を冠しているだけあってのテキサスらしいホスピタリティーで、著者はテキサスが初めての訪問者があった際には、できるだけこのレストランを体験してもらう様にしている。

単にステーキだけでなく、「テキサス」を体験できるステーキハウス、Taste of Texas。ヒューストンに来た際にはぜひ訪問して頂きたい。

↓アメリカ南部情報のブログランキングに参加しています。面白かったらクリックして頂けると嬉しいです!
にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ南部情報へ
にほんブログ村

日本未進出のテキサス州のこだわりハンバーガー②Becks Prime

テキサス州のこだわりハンバーガーFuddruckersを紹介した記事に続いて、今回もハンバーガーに並々ならぬこだわりを持った人々が住むテキサス州で人気の、日本未進出のこだわりハンバーガーを取り上げていきたい。

今回取り上げるのは、1984年にヒューストンで創業したハンバーガーチェーンBecks Prime(ベックス・プライム)だ。ダラスにも2店舗を有するが、メインはヒューストンでヒューストン大都市圏に11店舗を数える。

IMG_1538

このお店は”Fresh”であることを重視しており、注文を受けてから調理するのはもちろんのこと、一切の食材を冷凍せず、牛肉のパッティーもお店で作っている。また、加熱についても、高温で燃えるためにバーベキューの燃料に適していると言われるメスキートの木炭を創業以来、一貫して使用している。

そうしたこだわりのもとに作られるハンバーガーももちろん美味しいのだが、今回の記事ではMesquite Grilled Sandwich(メスキート炭でグリルしたサンドイッチ)というこだわり溢れる呼び方でカテゴリー分けされたサンドイッチ、その中でも豪華なRib Eye Sandwich(リブロース肉牛肉のサンドイッチ)を紹介したい。というのは私は、初めてこのBecks Primeを訪れた際に知人にこのリブアイサンドイッチをお勧めされて食べて以来、このサンドイッチのファンなのだ。

日本で言うサーロインと肩ロースの中間に位置する牛肉の部位であるリブアイは、適度に脂肪分が入り、テキサスの人々が誇りとするステーキハウスにおいても、最も人気な部位の一つだ。そんなリブアイをグリルしたものをそのままサンドイッチに挟んでしまおうというのだから、何とも贅沢である。では実物を見てみよう。IMG_1536

上の写真からお分かり頂けただろうか。適度に焼き目が付き油の乗ったリブアイが、バンズからあふれ出さんばかりにその存在を誇示している。レシピはとてもシンプルでリブアイ以外の食材はレタスのみで、ケチャップとマヨネーズをつけて食べる。初めて食べる前はリブアイステーキをハンバーガーにして食べるのは何だかもったいない気もしたのだが、一度食べるとパンとリブアイの食感のコンビネーションが病みつきになる。

なお、Becks Primeは各店舗にオープンテラスの客席があるのも特徴で、明かりの下のステーキハウスと比べて、青空の下、開放感に満ちた気分でリブアイステーキを食べられるのも更に嬉しい。IMG_1540

とここまで読んで、ハンバーガーについての記事かと思ったのに、何でサンドイッチ?と思った読者の方もおられるかもしれない。アメリカではハンバーグ以外の肉をバンズで挟んでいるものはxxサンドイッチと表現されることが多い。しかし、アメリカ人の感覚としては、ハンバーガーとこうしたサンドイッチは同じカテゴリーに分類されているし、アメリカ発の日本の某大手ハンバーガーチェーンでも、魚や鶏肉を挟んでいるメニューもハンバーガー扱いになっていることも考慮して、どうかご容赦頂きたい。

牛が身近に存在し、ステーキが大好きなテキサスらしいハンバーガー。ヒューストンを訪れる際にはぜひご賞味頂きたい。

↓アメリカ南部情報のブログランキングに参加しています。面白かったらクリックして頂けると嬉しいです!
にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ南部情報へ
にほんブログ村

今年もアメリカ南部にCrawfish(ザリガニ)のシーズンが到来!

これまでテキサスの料理として、こだわりのハンバーガーテキサス・バーベキューを当ブログで紹介してきたが、日本では食べられなさそうなアメリカ南部の料理として特徴的なのは、やはりCrawfish(ザリガニ)だと思う。男性なら、子供の頃に小川でザリガニを釣った経験があるかもしれないが、ここアメリカ南部でそのザリガニを調理して食べるのである。そして、今年もアメリカ南部にザリガニのシーズンが到来した!

ザリガニは元々ケイジャン料理と呼ばれる、テキサス州の東隣のルイジアナ州南部の料理だ。18世紀、新大陸アメリカにおけるイギリスとフランスの植民地戦争の結果として、フランス系住民の一部がルイジアナ州の南部に移住し、自給自足のため、ザリガニ、ワニ、カエルなど、土着の食材を使った独特の料理体系を作り上げる。時を経て、そうしたケイジャン料理はテキサス州にも広がり、特にザリガニは晩冬から春にかけての風物詩となっている。

シーズンが近づくと、地元の新聞Houston Chronicle電子版の2016年1月7日付の記事Crawfish are back in Houston, and early to boot, but be wary of size(ザリガニがヒューストンに帰ってきた。始まるのは早いが、大きさには注意)の様に、地元の人々は、養殖されているザリガニの成長の具合を話題にする様になる。同記事によると、ヒューストンでのザリガニシーズンの始まりは、通常、1月下旬から2月中旬くらいだと言う。それ以前にも店頭にザリガニは並び始めるが、まだまだ大きさが小さくて食べにくい。一方、シーズンの終わりは感覚的には4月下旬くらいで、その時期を過ぎるとザリガニが成長し過ぎて、ゆでても硬くて美味しくない。

アメリカ南部に住んでからの3年半で、何度もザリガニを食べる機会があったが、最近生粋のケイジャンであるルイジアナ出身の知人に連れて行ってもらったBayou City Seafood And Pastaというレストランが個人的には最も美味しいと思う。IMG_1336

ザリガニは重量を指定して注文する形式になっており、私は通常、半ポンド(約230g)を注文するのだが、知人からは「とりあえず2ポンドくらい注文するよな。」と言われ、驚きながらも、プロからのアドバイスなのだからと思って従う。しばらくして、バケツ一杯に入れられたザリガニが運ばれてくる。付け合わせのジャガイモとトウモロコシも豪快だ。IMG_1339

初めはこれだけの量を食べられるか不安だったが、このレストランのオリジナルスパイスが効いたザリガニは絶妙な味付けで、食べる手が止まらず、バケツの中がどんどん少なくなっていく。ザリガニ用のスパイスには通常、塩、コショウ、タマネギパウダー、ガーリックパウダー、レモンジュースなどがブレンドされるが、知人によると、ケイジャンの家庭にはどこでもその家オリジナルのスパイスのレシピがあるのだという。

また、ザリガニの食べ方としては、まず頭の部分を取り、次に背中の部分を剥いて中の身を取り出して食べる。日本でカニを食べる場合と似て、食べるのに地道な作業が必要なため、自然と無口になってしまう。また、カニと比べても食べれる部分が小さいので、上記の様にシーズンの初期にまだザリガニのサイズが小さいうちに食べると、食べられる部分が小さすぎて食べるための労力に見合わない様に感じられる。

シーズンの後半にはCrawfish Festival(ザリガニ祭り)なるものも各所で開かれる。屋外に特大の釜が用意され、何百人もの人々がどんどん茹で上がるザリガニをただただ食べ続けるイベントだ。また、多文化都市ヒューストンにおいては近年、ベトナム系住民達が、ニンニクとバターをふんだんに使ったソースが特徴のベトナム風の味付けのザリガニを出すレストランを続々とオープンさせており、伝統的なケイジャン風の味付けのザリガニに匹敵する様な人気を持つまでに至っている。

アメリカ南部生活の醍醐味として、今シーズンのヒューストンのザリガニシーンにどんなザリガニが登場するか、目が離せない。

↓アメリカ南部情報のブログランキングに参加しています。面白かったらクリックして頂けると嬉しいです!
にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ南部情報へ
にほんブログ村

伝説のテキサス・バーベキュー Salt Lick(ソルト・リック)BBQ

日本でバーベキューといえば、屋外に友人や家族で集まり、肉や野菜をグリルで焼いて食べることをイメージすると思う。しかし、ここテキサスで、バーベキュー、特にテキサス・バーベキューと言った場合は、意味するものは少々違う。専用のくぼみ(Pit)を用意して時間をかけていぶし、スモーキーになった肉の旨みを味わうという特別なものだ。今回は、そんなテキサス・バーベキューの伝説的なお店を紹介したい。

テキサス州の州都オースティンから南西の郊外、Driftwoodと呼ばれる小さな村の田舎道を車で走っていくと、目の前にぶどう畑と目立つ看板が見えてくる。テキサス州中、更には州外からも訪問客を集める超人気のバーベキューレストラン、Salt Lick BBQだ。IMG_1359

このレストランは、1967年にDriftwoodに住むサーマン・ロバーツ氏と彼の妻で日系人のヒサコさんが自らの牧場で始めたもの。最初は週末のみ、木曜夜に作り始めたバーベキューが売り切れるまで販売するつもりがすぐに大きな人気を博し、遂には通年営業のバーベキューレストランとして営業する様になる。現在でも、お昼前になると、店の入り口に行列ができる程の人気だ。IMG_1357

店に入ると早速、肉がいぶされたいい匂いが漂ってくる。匂いに連れられてその方向に目を向けると、そこには、バーベキューをいぶすための巨大なくぼみ(Pit)がどんと構えている。Pitの下部には、巨大な炭が豪快に並べられ、炭と炭の周囲に配された木片から巻き上がる煙が、同じく豪快に並べられた各種の肉を包んでいる。見ているだけでよだれが出てきそうな光景だ。IMG_1350

席について私達は看板メニューのサーマンズ・チョイス(16.95ドル)をオーダーする。ブリスケット(肩ばら肉)、ポークリブ(骨付きあばら肉)、ソーセージのセットでバーベキューの魅力が堪能できるセットだ。あのPitでじっくりといぶされただけあって、どの肉もスモーキーで美味しい。私は、バーベキューは何といっても、ブリスケットが主役だと考えているが、ブリスケットは下手な店で食べると、いぶされる過程で水分が抜けすぎてパサパサになっていることもある。しかし、ここのブリスケットはしっかりと水分が残り(アメリカ人はMoistと表現する)、専用のバーベキューソースをつけて食べると、とてもジューシーだ。IMG_1354

そして、Salt Lickのもう一つの魅力は、牧場でそのまま営業されていること。都市の喧騒から離れ、田舎の空気を吸いながら食べるバーベキューはそれだけで美味しい。しかもお店の横にはブドウ畑とワイナリーがあり、バーベキューと一緒に自家製のワインも楽しむことができる。IMG_1352

テキサス州を代表する料理であるテキサス・バーベキュー。その中にあって、親子二代でその味を守り続けるSalt Lickは象徴的な存在だ。オースティンまで来ることがあれば、ぜひ丘陵の中に牧場が広がるエリアに車を走らせ、伝説のバーベキューを味わって頂きたい。

そして、このレストランを紹介してくれた友人夫妻に感謝しています!ありがとう!!

↓アメリカ南部情報のブログランキングに参加しています。面白かったらクリックして頂けると嬉しいです!
にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ南部情報へ
にほんブログ村

多文化都市ヒューストンだから生まれた人気のインド料理レストランがニューヨークに進出!

テキサス州ヒューストンは、ラティーノを含まない白人が人口上の少数派という多文化都市だ。アジア系の人口は人口の5%程度で全体の中では少数派だが、アジア系の内でもインド系住民は教育水準が高いことで知られ、2000年の国勢調査では、ヒューストン中心部のハリス郡に住む約三万六千人のインド系アメリカ人のうち、その65%が大学教育を修了しているとの調査結果が出ている。

そんな教育水準の高いインド系アメリカ人のみならず、オシャレなスポット好きの白人達にも人気のインド料理レストランが、ヒューストン中心部にあるPondicheri(ポンディチェリ)だ。2016年1月15日付けの地元の新聞Houston Chronicle電子版の記事、Pondicheri New York opening in months(ポンディチェリが数ヶ月でニューヨークにオープン)によると、そのPondicheriの支店が何とニューヨークのマンハッタンにオープンするという。ニューヨーク発のグルメがヒューストンに進出ということは多くても、逆にヒューストン発のグルメがニューヨークに進出というのは珍しく、応援の意味でも、このレストランの魅力に迫ってみたい。

長くインドにおけるフランスの植民地の中心として発達した、インド南部の港町の名前を冠するこのレストランは、ヒューストン中心部の中でも、オシャレなブティックやレストランが立ち並ぶ一角に位置する。IMG_1216

同じインド料理レストランと言っても、インド系住民が多いヒューストンの南西部にあるレストランは、店の外まで各種スパイスの香りが漂ってきたりするが、このPondicheriはそんな香りも無く、周りの風景とマッチした落ち着いた雰囲気だ。店内の内装も黒と茶色を基調にシックにまとめられている。IMG_1218

料理についても、アメリカ人の口に合う様に元々のインド料理からアレンジが加えられており、辛さは控えめだ。また、見た目にも楽しめる様に盛り付けも工夫されている。下の写真は、一番人気のブランチ向けメニューであるモーニング・ターリー。IMG_1221

ターリーとは、大皿に盛られたインドの伝統的な定食料理のことだが、Pondicheriのターリーは、キーマ、ウプマ(野菜)、ポテトの三種類のカレーに、ニンジンのパラータ(インドのパンの一種)、目玉焼き、サフランのヨーグルト、フルーツまでついた目にも鮮やかな料理となっている。大皿の上のどの料理を取っても食材や調理法に工夫しているのが感じられるし、全部食べても、胃に重たさは残らない。

オシャレ志向、ヘルシー志向のアメリカ人の心を捉えるそんな料理の数々は、女性のオーナーシェフであるアニタ・ジャシンガーニさんの卓越した想像力から生まれている。アニタさんは、インド古来の医療・食事法であるアーユルヴェーダから多くを学んでいるとしながらも、自分のオリジナリティーを出すことに躊躇しない。上記のHouston Chronicleの記事中でのインタビューの中で、彼女はこう語っている。

“We are trying to stay within them for some foods and totally breaking them for others. Life is too short not to. We’re also trying to not take ourselves too seriously otherwise life would be boring and we never want to be boring. We want to keep exploring.” (私たちはいくつかの料理ではアーユルヴェーダの伝統に従い、他の料理では完全にそれを破っているの。人生はそうしないには短すぎるわ。私たちは深刻に考えすぎない様にもしているの、そうじゃないと人生はつまらないでしょう。私たちは絶対に退屈したくない。私たちは冒険を続けたいの。)

彼女らが何千年もの歴史を持つインドの伝統を何とも軽やかに取り入れつつも、現代のアメリカにマッチした独自の料理を生み出せるその背景には、それぞれの文化が日々ダイナミックに再生産と変容を続けるヒューストンという都市の土壌があると思う。アニタさんは、ニューヨークの支店をオープンした後も、ヒューストンを離れるつもりはないことを語っている。

これからPondicheriが、同じく多文化都市であるニューヨークでどう受け入れられるか、今からとても楽しみだ。

↓アメリカ南部情報のブログランキングに参加しています。面白かったらクリックして頂けると嬉しいです!
にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ南部情報へ
にほんブログ村

 

日本未進出のテキサス州のこだわりハンバーガー① Fuddruckers

日本でハンバーガーと言えばかつては、お手軽なファーストフードというイメージが強かったが、最近ニューヨーク発のハンバーガー、シェイク・シャックが日本に上陸して、素材へのこだわりを武器に人気を広げているなど、多少高くても品質の高いハンバーガーへの需要が高まっているようだ。一方、ここアメリカ南部テキサス州には、ハンバーガーが大好きな地元の人々に支えられ、未だ日本には進出していないこだわりのハンバーガー店がいくつも存在する。今回から、不定期でそんなご当地ハンバーガーを紹介してみたい。

第一回は、いかにもテキサスらしく、個人的には最も印象深いFuddruckers(ファドラッカーズ)だ。IMG_0785

ファドラッカーズは1979年にテキサス州が誇る観光地サンアントニオで創業し、現在ではアメリカ南部を中心に、アメリカ全土にチェーン展開し、ヨーロッパや中南米、中東の一部にも進出している。お店のキャッチフレーズは、”World’s Greatest Hamburgers”(世界で最も凄いハンバーガー)だ。

ファドラッカーズの特徴は何と言ってもハンバーガーの大きさだ。店の入り口のすぐ横には、看板メニューであるWorld’s Greatest Hamburgers用の肉が1/3ポンド、1/2ポンド、2/3ポンドと三種類分並べられている。最も大きい2/3ポンドは日本の単位で約300グラムだ。ステーキハウスと同様に、注文の前に肉の具合が確認できるのと、肉の下にはビールが並べられているのが、いかにもテキサスらしい。IMG_0786

2/3ポンドのハンバーガーは、単品で約9ドル、そこにチーズ等のトッピングや、フライドポテト等のサイドメニュー、そして、ドリンクをセットにすれば、価格は税込みで15ドル以上になる。レタスやオニオン、ピクルス等の野菜は自分で好きなだけ乗せられるとは言え、ハンバーガーにしてはかなり高めだ。しかしその分、注文を受けてから焼き始める肉を中心に、素材や調理法には徹底的にこだわられており、食べた後の満足感はハンバーガーを食べたというより、ステーキ等の肉料理を堪能したという感覚に近い。IMG_0789

また、店内の雰囲気もファーストフード店というよりは、ちょっとしたレストランの様に落ち着いている。何故か今やテキサス州以外ではほとんど見かけない地元の石油会社、TEXACO(テキサコ)の古い型の給油機が店内に無造作に置いてあるのも、テキサスならではだ。IMG_0787

テキサスの人々はよく、”Everything is bigger in Texas(テキサスでは何でも他よりデカい)”という言葉を口にする。そこで、ハンバーガーも他よりデカくなるというわけだが、決してただデカいことだけを売りにしているわけではない。テキサスの人々がその言葉を口にする時、そこには自分たちの豪快なスタイルに対する強い自信の様なものも含まれていると思う。ファドラッカーズのハンバーガーが、World’s Biggest Hamburgersではなく、World’s Greatest Hamburgersという名前になっているのもそそうした自信の一つの表れではないだろうか。

小さな島国である日本に、デカくて、かつ、すごいハンバーガーが進出したら、日本人にどう受けられるのかを想像すると楽しみになってくる。

↓アメリカ南部情報のブログランキングに参加しています。面白かったらクリックして頂けると嬉しいです!
にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ南部情報へ
にほんブログ村

日曜日が休みのファーストフード店

静岡の田舎に生まれた僕にとって、ファーストフードというのは一つのご馳走だった。僕が小学生だった1990年代前半、マクドナルドにしても、実家から車で30分程度かかる静岡駅周辺の繁華街にしかなく、週末の日曜日に映画館で映画を見た後にマクドナルドに寄ったりすると、とても贅沢をしている気分になったものだった。

今、ここアメリカ南部では車で5分走れば必ず何かのファーストフード店が見つかると言っていい程、ハンバーガー等のファーストフード店が多い。しかし一方でここには、僕の思い出の中でファーストフードと結びついている週末の日曜日に休みになる、一風変わったファーストフード店が存在する。それが、チキンサンドイッチに特化したファーストフード店Chick-Fil-A(チックフィレイ)だ。

IMG_0578IMG_0579チックフィレイは、1946年に南部ジョージア州のアトランタで、トルエット・キャシーがオープンしたレストラン、ドワーフ・グリルがその始まりで、チックフィレイ自体は1967年にアトランタのショッピングモール内に一号店がオープンし、その後もアメリカ南部のショッピングモールを中心に店舗を広げ、現在では、アメリカ全部で1,900店舗以上を営業している。

もともとチックフィレイが日曜日を休みとすると決めたのは、創業者のトルエット・キャシーが、アメリカにおけるプロテスタントの主要教派の一つ、南部バプテスト連盟の熱心な信者だったからと言われているが、個人営業のレストランならともかく、全米規模の巨大ファーストフードチェーンになった今も、全店にその方針を徹底するのは興味深い。

もう少し彼の考え方に迫ってみようと同社のホームページを見ると、日曜日が休みである理由について、こんな説明がなされている。