夜に虹が見える場所-アルゼンチン・イグアスの滝 旅行記

今回から番外編として、旅行中のアルゼンチンについて書いてみたい。

南米経験が長い何人からの知人から、南米随一のおススメスポットとして、アルゼンチンのイグアスの滝を勧めて頂いていた。今回実際に訪問してみて、知人達に感謝するとともに、ここがいかに特別な場所かを実感した。世界最大の滝の一つとして、見る者を圧倒する滝の大迫力ももちろんながら、ここは夜に虹が見える場所でもあるのだ。

イグアスの滝の観光は、ユネスコの世界遺産でもある国立公園のゲートからスタートする。ゲートをくぐってしばらくSendero Verde(緑の道)という遊歩道を歩くと、最初の見所である上下ふたつの遊歩道にぶつかる。まず、Paseo Superior(滝の上の遊歩道)は、イグアス川の流域に沿って、東西に大きく広がった一連の滝を上側から眺めながら歩くことができる。IMG_0893

僕が訪問した時期は、前日にアルゼンチン北東部の一部で大規模な洪水が発生するなど、その日までの降水量が例年よりも多く、「濁流」と表現するのがふさわしいと思える様な水の勢いだった。IMG_0896

もう一つの遊歩道はCircuito Inferior(滝の下の回廊)と呼ばれ、滝の下部を眺めながら、森に囲まれた広範囲のエリアを歩くことができる。こちらは、滝の迫力もさることながら、滝が終わった後のイグアス川の轟々と流れる勢いにも引き込まれる。IMG_0901

また、この遊歩道にはそこらじゅうで動物たち、特にカラフルな蝶や、かわいらしいアカハナグマに頻繁に出会える。アカハナグマはとても人懐っこく、すぐ近くまで接近してくるので、人間の方が驚いてしまうほどだ。

IMG_0903

遊歩道を歩き終えた後は、無料の列車に乗って、イグアスの滝の最上部、観光のハイライトであるGarganta del Diablo(悪魔ののどぶえ)に向かう。電車を降り、イグアス川の上にかけられた橋を20分ほど進むと、それは現れる。滝の最大落差80mで、アルゼンチン側からブラジル側に流れ落ちる悪魔ののどぶえの姿は、壮大であるのを通り越して、畏怖すら感じさせる。IMG_0918

この滝はそれ自体が生き物であるかの様に、辺りに水しぶきと轟音を撒き散らしながら、刻一刻とその姿を変えていく。少し手を伸ばせば滝に触れられる様な距離まで近づくことができるが、もし滝に飲まれたら最後、決して生きては戻れないだろう。見る者にその圧倒的な荒々しさを感じさせる悪魔ののどぶえだが、心が休まるのが、あまりに激しく落ちる滝があげる水しぶきで、滝の中ほどに虹が現れることだ。IMG_0923

そして、この滝のもう一つの姿を発見できるのは、満月の夜である。ここイグアスの滝では、満月の前後5日間限定で、Paseo de Luna Llena(フルムーン・ウォーク)というウォーキングツアーが開催されており、散策の前か後にアルゼンチン料理のビュッフェを挟んで、閉園後の悪魔ののどぶえまで戻ってくることができる。

昼間と同様に電車を降り、悪魔ののどぶえまで歩いて向かう道は、満月の淡い光に照らされているだけで、濁流の赤茶けた色も見えず、落ち着いた雰囲気だ。たどり着いた悪魔ののどぶえも、昼間の威圧感が嘘の様に、水流が絹のうねりの様に白く怪しく照らされ、幻想的なたたずまいを見せている。そして、余りに強い勢いのため、湧き上がった水しぶきは満月の光を十分に集め、真夜中であるにも関わらず、虹を作り出しているのだ。

大変申し訳なくも、夜の虹は流石に手元のカメラには収められなかった。撮影した写真をできるだけ明るく加工したのがこれである。FullSizeRender

世界広しと言えども、夜に虹が見える場所はそうないに違いない。昼間の悪魔ののどぶえの圧倒的な迫力、そして、夜の悪魔ののどぶえにかかる虹の神秘的な美しさはぜひご自分の目で確かめて頂きたい。

次は、パタゴニアのフィッツロイ・トレッキング編です。

↓アメリカ南部情報のブログランキングに参加しています。面白かったらクリックして頂けると嬉しいです!
にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ南部情報へ
にほんブログ村