アメリカ人がアメリカ南部で最も美しい景色として良く挙げるのが、フロリダ州の南部、州都マイアミからアメリカ本土最南端の島、キーウエストまで国道一号線に沿って走るドライブだ。メキシコ湾の上に浮かぶサンゴ礁の島々を、42個もの橋を渡って進んでいくと、まるで海の上を走っている様な感覚になってくる。今回、念願かなって遂にこの道をドライブすることができた。
ドライブ前日、旅の起点はアメリカ内における中南米への玄関口、マイアミ。町中ではテキサス以上に普通にスペイン語で会話が交わされている。観光客は東側のマイアミ・ビーチに多く、深夜になっても人々の熱気が絶えない。私達はマイアミで100年以上続くという有名なレストラン、Joe’s Stone Crabで鋭気を養う。ここの名物は、地元で採れるストーンクラブというカニの巨大なツメ。肉厚でバターをつけて食べると非常に美味しい。(なお、このレストランは予約ができず、マイアミ在住の友人によると、週末は1時間程並ぶのを覚悟した方がいいという。)
翌朝、快晴の空の下、マイアミを離れて一路南に下る。一時間程走ると、次第に道の両側に海がチラチラと見えてきて、遂には最初の大きな島、キーラルゴに続く橋に出る。この辺りから海はエメラルドブルーの綺麗な色に変わってくる。
そこからは、南国情緒溢れる島の中を通る道と、太陽の光を反射してきらめく海の上を橋に沿って進む道が交互に現れ、走っているだけで何かの映画の中にいる様な気分にさせられる。そして、さらに1時間半程走ると、マイアミからキーウエストまでのドライブのクライマックスと言える、とてつもなく長い橋、セブンマイルブリッジが見えてくる。
セブンマイルブリッジはその名の通り、海の上に7マイル、約11Kmにわたって続く橋で、日本でも映画やCM等で見たことのある方も多いと思う。これだけ橋の距離が長いと、橋の上をドライブしているというよりは海の上をドライブしている様な感覚になる。アメリカで色々な道を車でドライブしてきたが、この爽快感は他では決して味わえないと思う。
セブンマイルブリッジを過ぎ、更に1時間程進むと、目的地であるアメリカ本土最南端の島キーウエストに到着。ここは、文豪アーネスト・ヘミングウェイが1930年代に暮らしていた島として知られ、島には今でも文豪が愛した陽気で自由な雰囲気が漂っている。キーウエストで最も美しいと言われるフォート・ザッカリー・テイラー州立公園のビーチを訪れると、人々はゆったりと流れる時間に合わせ、思い思いにのんびりと過ごしていた。天気のいい日は遥か南にキューバが見えることもあると言う。
できることならば、現代社会の忙しさから離れ、しばらくの間キーウエストにのんびりと滞在したいところだったが、今回は時間の都合でマイアミに日帰りせざるを得なかった。しかし、南国の太陽はそんな私達にももう一つご褒美を用意してくれていた。キーウエストからマイアミに帰る途中、先程のセブンマイルブリッジを過ぎたところで休憩のために車を止めると、丁度橋の向こうの海に夕日が沈むところだったのだ。夕日を反射した海が金色に輝き、私達はうっとりと魅了されてしまう。
ここでは、あれもこれもと忙しく計画をする必要はない。ただ、その空間に身を置いているだけで幸せな気分になる、そんな気分になりたい方は一度キーウエストまでのドライブを試してみては如何だろうか。
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