ヒューストン一の観光地 NASA・ジョンソン宇宙センターの楽しみ方

テキサス州ヒューストンに住んでいて、日本からの訪問者が来ると、ほぼ確実にお連れするのが、ヒューストン一の観光地であるNASAのJohnson Space Center (ジョンソン宇宙センター)だ。私自身10回以上訪問しているはずで、何度も訪問すると、ここをより楽しむ方法がわかってくる。今後訪問を検討している方のために、以下で紹介してみたい。

まず頭に入れておいて頂きたいのは、全米に10施設あるNASAの主な施設の中で、ジョンソン宇宙センターは主に、ミッションコントロールと宇宙飛行士の訓練を担っていることだ。『アポロ13』等の映画で、宇宙飛行士が「ヒューストン、ヒューストン、応答して下さい」といった通信を行っていたのが、ここにあるミッションコントロールセンターだ。一方、宇宙飛行士の訓練施設については、最近では漫画『宇宙兄弟』で登場することでイメージがある方も多いだろう。一方、スペースシャトルの打ち上げ自体はフロリダ州にあるケネディ宇宙センターで行われていて、ここでは見れないので悪しからず。

さて、ジョンソン宇宙センターを訪問する者はまず、センターに併設された観光用施設であるSpace Center Houstonに入ることになる。駐車場に到着すると、飛行機の上に乗っかったスペースシャトル、インデペンデンスのレプリカに出迎えられ、いよいよ期待が高まる。IMG_1325

そしてスペースセンターの内部に入ると、迫力の映像が楽しめるシアターやNASAの宇宙開発に関する展示品を集めたギャラリー、宇宙を体験できるアトラクション等が目の前に現れ、どこから行こうか迷ってしまう。私としては、まず”Destiny Theater”に向かうことをおススメする。NASAの宇宙開発の歴史がまとめられた映画であり、お連れする訪問者がNASAや宇宙開発に余り詳しくない時に重宝する。そして、歴史といっても、決して退屈な記録映画風ではなく、”Human Destiny”(人類の運命)というタイトル通り、非常にドラマティックで迫力のある映像となっており、見る者を飽きさせない。特に、映画の中盤のある場面では、ドキッとさせられること間違いなしだ。IMG_1326

その後、特に時間がない方は、スペースセンター内を最も奥まで進み、トラムツアーに参加することをおススメする。他のアトラクションはあくまで観光客向けに作られたものだが、このトラムツアーでは、トラムに乗って、実際にNASAの職員が勤務しているジョンソン宇宙センター内に入っていくことができる。赤と青の二種類のツアーがあり、一方はミッションコントロールセンター、もう一方は宇宙飛行士の訓練施設に行けるので、興味に応じて選んで頂きたい。どちらのツアーでも、最後にロケットの展示が集まるロケットパークを訪問するが、アポロ計画時代に使用された超巨大なサターンVロケットは必見だ。

また、スペースセンター内の一角には、これまでの宇宙飛行士の写真を時系列で並べたギャラリーがあり、いくつかの写真には日本人宇宙飛行士も含まれているので、時間がある方は探してみるのも楽しい。IMG_1327

最後に、スペースシャトル計画も終わり、NASAの宇宙開発も停滞してしまったと思う方もいらっしゃるかもしれない。しかし、スペースセンター内に展示されているのは、決してアポロ計画やスペースシャトル計画等の過去の宇宙開発の資料だけではなく、人類の未来を担う将来の宇宙開発計画に関する展示もあるのだ。特に、NASAの次世代宇宙船である”Orion”の展示は好奇心をくすぐられる。IMG_1332

10回以上も訪問しているジョンソン宇宙センターだが、決して飽きることはない。来るたびに様々な展示から宇宙開発に携わる人々の情熱に触れ、翌週の仕事を頑張ろうという気にさせられるのだ。ヒューストンを訪れる方には是非ともこのヒューストン一の観光地を訪問して頂きたい。

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テキサスの豪華すぎるガソリンスタンド Buc-ee’s(バッキーズ)

テキサス州には、テキサスに住む人々なら誰でも知っていて、ほとんどの人々が大好きなガソリンスタンドがある。Buc-ee’s(バッキーズと発音する)という名前のそのガソリンスタンドは、ガソリンスタンドと表現するには余りに豪華で、日本人がイメージするガソリンスタンドの概念を遥かに超えている。今回は、テキサスの豪華すぎるガソリンスタンド、Buc-ee’sの魅力に迫ってみよう。

テキサス州では一歩大都市を離れると、何時間も何もない荒野の一本道を走り続けるということがしばしばだ。そんな退屈なドライブにおいて、道路脇にBuc-ee’sの看板が見えてくると、例えそれがまだ何十マイル先であってもワクワクしてくる。そして、遂にBuc-ee’sに到着したことを示す、マスコットキャラクターのビーバーの看板が見えてくると、まるで自分の家に帰ってきた様な安心感に包まれるのである。IMG_1514

Buc-ee’sは、ヒューストンの東の郊外に位置する町Lake Jacksonで、1982年にオープンした。創業当初からオーナーがこだわりを持っていたのは、トイレを徹底的にキレイに保つことだった。アメリカ南部の高速道路上のガソリンスタンドでは、汚く放置されたトイレに遭遇し、ドライブの疲労感が増してしまうこともしばしばだ。しかしBuc-ee’sのトイレは、まるでホテルのトイレかの様に、常にキレイで清潔に保たれている。私はこれは非常に有効な集客戦略だと考えており、その証拠に私自身も、長距離運転中にガソリンが少なくなってきたと感じても、後数十分以内にBuc-ee’sがあるのであれば、清潔なトイレにひかれて、ついBuc-ee’sまで我慢してしまう。IMG_1515

そして、Buc-ee’sのもう一つの特徴はその巨大さだ。通常のガソリンスタンドにはせいぜい10台程度の給油機が設置されているのが普通だが、Buc-ee’sには少ないところでも80台、多いところでは120台もの給油機が並んでいる。これも、どんなに人気でも、Buc-ee’sではガソリンを入れるのに給油機の順番待ちをする必要がない、という安心感を与えてくれる。

Buc-ee’sの魅力はまだ終わらない。店内も通常のガソリンスタンドのコンビニ部分の数倍の大きさで、どこにでもあるお菓子やドリンク、日常品はもちろんのこと、独自ブランドのビーフジャーキーや、テキサスのお土産コーナーまで備えている。更に、食べ物も充実していて、店内の大きなスペースを使ってカウンターを設置し、サンドイッチやタコス、バーベキュー、コラチェなど、テキサスの人々が大好きなメニューをアツアツで提供してくれる。IMG_1516IMG_1518

ちなみに、おまけでもう一つの魅力を挙げると、Buc-ee’sのマスコットキャラクターであるビーバーについても、Tシャツや、ドリンクホルダー、ぬいぐるみや帽子など色々なグッズが販売されている。こうしたグッズは、普段の生活で身に着けていると、それだけで出会ったアメリカ人が笑顔になってくれるという優れものだ。IMG_1520

テキサス州をドライブすることがあれば、ぜひ道路脇のBuc-ee’sの看板を探し、到着するまで我慢してほしい。きっとそれだけの価値はあるはずだから。

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日本未進出のテキサス州のこだわりハンバーガー②Becks Prime

テキサス州のこだわりハンバーガーFuddruckersを紹介した記事に続いて、今回もハンバーガーに並々ならぬこだわりを持った人々が住むテキサス州で人気の、日本未進出のこだわりハンバーガーを取り上げていきたい。

今回取り上げるのは、1984年にヒューストンで創業したハンバーガーチェーンBecks Prime(ベックス・プライム)だ。ダラスにも2店舗を有するが、メインはヒューストンでヒューストン大都市圏に11店舗を数える。

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このお店は”Fresh”であることを重視しており、注文を受けてから調理するのはもちろんのこと、一切の食材を冷凍せず、牛肉のパッティーもお店で作っている。また、加熱についても、高温で燃えるためにバーベキューの燃料に適していると言われるメスキートの木炭を創業以来、一貫して使用している。

そうしたこだわりのもとに作られるハンバーガーももちろん美味しいのだが、今回の記事ではMesquite Grilled Sandwich(メスキート炭でグリルしたサンドイッチ)というこだわり溢れる呼び方でカテゴリー分けされたサンドイッチ、その中でも豪華なRib Eye Sandwich(リブロース肉牛肉のサンドイッチ)を紹介したい。というのは私は、初めてこのBecks Primeを訪れた際に知人にこのリブアイサンドイッチをお勧めされて食べて以来、このサンドイッチのファンなのだ。

日本で言うサーロインと肩ロースの中間に位置する牛肉の部位であるリブアイは、適度に脂肪分が入り、テキサスの人々が誇りとするステーキハウスにおいても、最も人気な部位の一つだ。そんなリブアイをグリルしたものをそのままサンドイッチに挟んでしまおうというのだから、何とも贅沢である。では実物を見てみよう。IMG_1536

上の写真からお分かり頂けただろうか。適度に焼き目が付き油の乗ったリブアイが、バンズからあふれ出さんばかりにその存在を誇示している。レシピはとてもシンプルでリブアイ以外の食材はレタスのみで、ケチャップとマヨネーズをつけて食べる。初めて食べる前はリブアイステーキをハンバーガーにして食べるのは何だかもったいない気もしたのだが、一度食べるとパンとリブアイの食感のコンビネーションが病みつきになる。

なお、Becks Primeは各店舗にオープンテラスの客席があるのも特徴で、明かりの下のステーキハウスと比べて、青空の下、開放感に満ちた気分でリブアイステーキを食べられるのも更に嬉しい。IMG_1540

とここまで読んで、ハンバーガーについての記事かと思ったのに、何でサンドイッチ?と思った読者の方もおられるかもしれない。アメリカではハンバーグ以外の肉をバンズで挟んでいるものはxxサンドイッチと表現されることが多い。しかし、アメリカ人の感覚としては、ハンバーガーとこうしたサンドイッチは同じカテゴリーに分類されているし、アメリカ発の日本の某大手ハンバーガーチェーンでも、魚や鶏肉を挟んでいるメニューもハンバーガー扱いになっていることも考慮して、どうかご容赦頂きたい。

牛が身近に存在し、ステーキが大好きなテキサスらしいハンバーガー。ヒューストンを訪れる際にはぜひご賞味頂きたい。

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年に一度のカウボーイ・カウガール達の祭典 ヒューストンロデオ

今年もヒューストンにロデオの季節がやってきた。年に一度、アメリカ南部・中西部各地から、馬や牛の扱いに自信のあるカウボーイ・カウガール達がヒューストンに集い、様々な競技で、日頃の修行の成果を競い合うイベントである。個人的には、最もテキサスらしいと思うイベントの一つだ。

ヒューストンロデオは、3月1日-20日の20日間に渡って行われ、この季節になると、普段はアメリカンフットボールの地元チームであるヒューストンテキサンズの本拠地、NRGスタジアムが、馬と牛と熱気に満ちたロデオ会場に早変わりする。IMG_1473

夜になると、NRGスタジアムの周りには、この日のために着飾った人達が集まってくる。着飾ると言ってもスーツやドレスではなく、カウボーイ・カウガール達に合わせて、上半身は柄シャツ、下半身はジーンズとカウボーイブーツ、そして、頭にはカウボーイハットといういで立ちだ。また、会場の周りでは、各地から集まったバーベキューの店舗が味を競うという、もう一つの戦いも行われている。

スタジアムの内部は、アメフトの時と同様、一階席から四階席まで客席が分かれているが、私の経験上、競技に接近できる一階席以外は、詳しい競技の様子が肉眼では見えず、スタジアム中央のスクリーンを通して見ることになるので、余り座席にはこだわらなくてもよいと思う。IMG_1476

いざロデオが始まって驚くのは、種目の多さだ。合間のショーも含めると、10以上の種目があり、それぞれロデオの期間中に、予選から決勝までが進行し、その年のチャンピオンも決まる。

まず日本の方々にも馴染みが深い種目としては、Bull Ridingという暴れ牛にどれだけ乗っていられるかという種目がある。8秒乗れば合格となり、それまでの乗り方と牛の暴れっぷりが評価されるが、素人には点数がどう付けられているのかがなかなかわかりにくい。ただ競技は迫力十分で、下の写真は、ズームが荒くて見にくいが、カウボーイが途中で牛に振り落とされるシーンだ。ただ8秒乗ると言っても、その難しさが伝わるだろうか。IMG_1492IMG_1493

難しさという意味では、素人目に最も難しく見えるのは、Steer Wrestlingという種目。その内容は、走っている馬の上から逃げる牛にジャンプして飛びつき、その牛の首をひねって地面に倒すまでの時間を競うというものだ。恐らく西部開拓時代の実際の作業からヒントを得て考案されたのだろうが、動く動物から動く動物に飛びつくというのはそれだけでも至難の業だ。そして、毎回牛の首をひねって倒すというのは、牛にはダメージはない様だが、どこかの動物愛護団体から抗議がこないか無用な心配をしてしまう。下の写真は、中央の青いシャツの男性が、牛の首に見事飛びついた瞬間だ。IMG_1488

一方、美しさを感じる競技といえば、Barrel Racing。基本的には女性、カウガール達の競技で、会場内に三角形に配置された樽の間を馬で走り抜けるタイムを競うというものだ。カウガール達のたづなさばきで、馬達が樽の周りを最小限のスペースでターンし、最後ゴールに全速力で走り抜ける様は、見ていて美しさすら感じるし、会場も盛り上がる。IMG_1490 (1)

そして、ロデオの全ての種目が終わり、会場の興奮が最高潮に達した時、会場の中央から花火が上がり、第二部であるコンサートに移る。ロデオのコンサートは、一部の大物ポップアーティストを除いて、多くがカントリーミュージックのアーティスト達で、日本の方々にはほとんど馴染みがないだろうが、アメリカ南部では熱狂的な人気を誇るアーティストも多い。私達が訪れた日も会場は大興奮に包まれていた。IMG_1509

何がロデオの魅力かと言えば、カウボーイ・カウガール達の熟練された技術ももちろんながら、会場の周りのテキサスバーベキューの味、普段はテキサスの田舎の牧場で牛や馬の世話をしているであろうカウボーイ・カウガール達の雄姿、テキサスの人々が熱狂するカントリーミュージックの心地よい響きと、自分達がテキサスにいるのだということを全身で感じさせてくれることだ。ロデオ期間中にテキサスを訪れる方はぜひともこのヒューストンロデオを訪れていただきたい。

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海の上に続く道-フロリダ州キーウエストへのドライブ

アメリカ人がアメリカ南部で最も美しい景色として良く挙げるのが、フロリダ州の南部、州都マイアミからアメリカ本土最南端の島、キーウエストまで国道一号線に沿って走るドライブだ。メキシコ湾の上に浮かぶサンゴ礁の島々を、42個もの橋を渡って進んでいくと、まるで海の上を走っている様な感覚になってくる。今回、念願かなって遂にこの道をドライブすることができた。

ドライブ前日、旅の起点はアメリカ内における中南米への玄関口、マイアミ。町中ではテキサス以上に普通にスペイン語で会話が交わされている。観光客は東側のマイアミ・ビーチに多く、深夜になっても人々の熱気が絶えない。私達はマイアミで100年以上続くという有名なレストラン、Joe’s Stone Crabで鋭気を養う。ここの名物は、地元で採れるストーンクラブというカニの巨大なツメ。肉厚でバターをつけて食べると非常に美味しい。(なお、このレストランは予約ができず、マイアミ在住の友人によると、週末は1時間程並ぶのを覚悟した方がいいという。)IMG_1435

翌朝、快晴の空の下、マイアミを離れて一路南に下る。一時間程走ると、次第に道の両側に海がチラチラと見えてきて、遂には最初の大きな島、キーラルゴに続く橋に出る。この辺りから海はエメラルドブルーの綺麗な色に変わってくる。IMG_0012

そこからは、南国情緒溢れる島の中を通る道と、太陽の光を反射してきらめく海の上を橋に沿って進む道が交互に現れ、走っているだけで何かの映画の中にいる様な気分にさせられる。そして、さらに1時間半程走ると、マイアミからキーウエストまでのドライブのクライマックスと言える、とてつもなく長い橋、セブンマイルブリッジが見えてくる。IMG_1457 (1)

セブンマイルブリッジはその名の通り、海の上に7マイル、約11Kmにわたって続く橋で、日本でも映画やCM等で見たことのある方も多いと思う。これだけ橋の距離が長いと、橋の上をドライブしているというよりは海の上をドライブしている様な感覚になる。アメリカで色々な道を車でドライブしてきたが、この爽快感は他では決して味わえないと思う。IMG_0070

セブンマイルブリッジを過ぎ、更に1時間程進むと、目的地であるアメリカ本土最南端の島キーウエストに到着。ここは、文豪アーネスト・ヘミングウェイが1930年代に暮らしていた島として知られ、島には今でも文豪が愛した陽気で自由な雰囲気が漂っている。キーウエストで最も美しいと言われるフォート・ザッカリー・テイラー州立公園のビーチを訪れると、人々はゆったりと流れる時間に合わせ、思い思いにのんびりと過ごしていた。天気のいい日は遥か南にキューバが見えることもあると言う。IMG_1445

できることならば、現代社会の忙しさから離れ、しばらくの間キーウエストにのんびりと滞在したいところだったが、今回は時間の都合でマイアミに日帰りせざるを得なかった。しかし、南国の太陽はそんな私達にももう一つご褒美を用意してくれていた。キーウエストからマイアミに帰る途中、先程のセブンマイルブリッジを過ぎたところで休憩のために車を止めると、丁度橋の向こうの海に夕日が沈むところだったのだ。夕日を反射した海が金色に輝き、私達はうっとりと魅了されてしまう。IMG_1468

ここでは、あれもこれもと忙しく計画をする必要はない。ただ、その空間に身を置いているだけで幸せな気分になる、そんな気分になりたい方は一度キーウエストまでのドライブを試してみては如何だろうか。

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今年もアメリカ南部にCrawfish(ザリガニ)のシーズンが到来!

これまでテキサスの料理として、こだわりのハンバーガーテキサス・バーベキューを当ブログで紹介してきたが、日本では食べられなさそうなアメリカ南部の料理として特徴的なのは、やはりCrawfish(ザリガニ)だと思う。男性なら、子供の頃に小川でザリガニを釣った経験があるかもしれないが、ここアメリカ南部でそのザリガニを調理して食べるのである。そして、今年もアメリカ南部にザリガニのシーズンが到来した!

ザリガニは元々ケイジャン料理と呼ばれる、テキサス州の東隣のルイジアナ州南部の料理だ。18世紀、新大陸アメリカにおけるイギリスとフランスの植民地戦争の結果として、フランス系住民の一部がルイジアナ州の南部に移住し、自給自足のため、ザリガニ、ワニ、カエルなど、土着の食材を使った独特の料理体系を作り上げる。時を経て、そうしたケイジャン料理はテキサス州にも広がり、特にザリガニは晩冬から春にかけての風物詩となっている。

シーズンが近づくと、地元の新聞Houston Chronicle電子版の2016年1月7日付の記事Crawfish are back in Houston, and early to boot, but be wary of size(ザリガニがヒューストンに帰ってきた。始まるのは早いが、大きさには注意)の様に、地元の人々は、養殖されているザリガニの成長の具合を話題にする様になる。同記事によると、ヒューストンでのザリガニシーズンの始まりは、通常、1月下旬から2月中旬くらいだと言う。それ以前にも店頭にザリガニは並び始めるが、まだまだ大きさが小さくて食べにくい。一方、シーズンの終わりは感覚的には4月下旬くらいで、その時期を過ぎるとザリガニが成長し過ぎて、ゆでても硬くて美味しくない。

アメリカ南部に住んでからの3年半で、何度もザリガニを食べる機会があったが、最近生粋のケイジャンであるルイジアナ出身の知人に連れて行ってもらったBayou City Seafood And Pastaというレストランが個人的には最も美味しいと思う。IMG_1336

ザリガニは重量を指定して注文する形式になっており、私は通常、半ポンド(約230g)を注文するのだが、知人からは「とりあえず2ポンドくらい注文するよな。」と言われ、驚きながらも、プロからのアドバイスなのだからと思って従う。しばらくして、バケツ一杯に入れられたザリガニが運ばれてくる。付け合わせのジャガイモとトウモロコシも豪快だ。IMG_1339

初めはこれだけの量を食べられるか不安だったが、このレストランのオリジナルスパイスが効いたザリガニは絶妙な味付けで、食べる手が止まらず、バケツの中がどんどん少なくなっていく。ザリガニ用のスパイスには通常、塩、コショウ、タマネギパウダー、ガーリックパウダー、レモンジュースなどがブレンドされるが、知人によると、ケイジャンの家庭にはどこでもその家オリジナルのスパイスのレシピがあるのだという。

また、ザリガニの食べ方としては、まず頭の部分を取り、次に背中の部分を剥いて中の身を取り出して食べる。日本でカニを食べる場合と似て、食べるのに地道な作業が必要なため、自然と無口になってしまう。また、カニと比べても食べれる部分が小さいので、上記の様にシーズンの初期にまだザリガニのサイズが小さいうちに食べると、食べられる部分が小さすぎて食べるための労力に見合わない様に感じられる。

シーズンの後半にはCrawfish Festival(ザリガニ祭り)なるものも各所で開かれる。屋外に特大の釜が用意され、何百人もの人々がどんどん茹で上がるザリガニをただただ食べ続けるイベントだ。また、多文化都市ヒューストンにおいては近年、ベトナム系住民達が、ニンニクとバターをふんだんに使ったソースが特徴のベトナム風の味付けのザリガニを出すレストランを続々とオープンさせており、伝統的なケイジャン風の味付けのザリガニに匹敵する様な人気を持つまでに至っている。

アメリカ南部生活の醍醐味として、今シーズンのヒューストンのザリガニシーンにどんなザリガニが登場するか、目が離せない。

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伝説のテキサス・バーベキュー Salt Lick(ソルト・リック)BBQ

日本でバーベキューといえば、屋外に友人や家族で集まり、肉や野菜をグリルで焼いて食べることをイメージすると思う。しかし、ここテキサスで、バーベキュー、特にテキサス・バーベキューと言った場合は、意味するものは少々違う。専用のくぼみ(Pit)を用意して時間をかけていぶし、スモーキーになった肉の旨みを味わうという特別なものだ。今回は、そんなテキサス・バーベキューの伝説的なお店を紹介したい。

テキサス州の州都オースティンから南西の郊外、Driftwoodと呼ばれる小さな村の田舎道を車で走っていくと、目の前にぶどう畑と目立つ看板が見えてくる。テキサス州中、更には州外からも訪問客を集める超人気のバーベキューレストラン、Salt Lick BBQだ。IMG_1359

このレストランは、1967年にDriftwoodに住むサーマン・ロバーツ氏と彼の妻で日系人のヒサコさんが自らの牧場で始めたもの。最初は週末のみ、木曜夜に作り始めたバーベキューが売り切れるまで販売するつもりがすぐに大きな人気を博し、遂には通年営業のバーベキューレストランとして営業する様になる。現在でも、お昼前になると、店の入り口に行列ができる程の人気だ。IMG_1357

店に入ると早速、肉がいぶされたいい匂いが漂ってくる。匂いに連れられてその方向に目を向けると、そこには、バーベキューをいぶすための巨大なくぼみ(Pit)がどんと構えている。Pitの下部には、巨大な炭が豪快に並べられ、炭と炭の周囲に配された木片から巻き上がる煙が、同じく豪快に並べられた各種の肉を包んでいる。見ているだけでよだれが出てきそうな光景だ。IMG_1350

席について私達は看板メニューのサーマンズ・チョイス(16.95ドル)をオーダーする。ブリスケット(肩ばら肉)、ポークリブ(骨付きあばら肉)、ソーセージのセットでバーベキューの魅力が堪能できるセットだ。あのPitでじっくりといぶされただけあって、どの肉もスモーキーで美味しい。私は、バーベキューは何といっても、ブリスケットが主役だと考えているが、ブリスケットは下手な店で食べると、いぶされる過程で水分が抜けすぎてパサパサになっていることもある。しかし、ここのブリスケットはしっかりと水分が残り(アメリカ人はMoistと表現する)、専用のバーベキューソースをつけて食べると、とてもジューシーだ。IMG_1354

そして、Salt Lickのもう一つの魅力は、牧場でそのまま営業されていること。都市の喧騒から離れ、田舎の空気を吸いながら食べるバーベキューはそれだけで美味しい。しかもお店の横にはブドウ畑とワイナリーがあり、バーベキューと一緒に自家製のワインも楽しむことができる。IMG_1352

テキサス州を代表する料理であるテキサス・バーベキュー。その中にあって、親子二代でその味を守り続けるSalt Lickは象徴的な存在だ。オースティンまで来ることがあれば、ぜひ丘陵の中に牧場が広がるエリアに車を走らせ、伝説のバーベキューを味わって頂きたい。

そして、このレストランを紹介してくれた友人夫妻に感謝しています!ありがとう!!

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テキサスのエアーズロック!? Enchanted Rock (エンチャンテッド・ロック)

広大な大地にそびえ立つ一枚岩としてはオーストラリアのエアーズロックが世界的に有名だが、Everything is big in Texasを自慢にするテキサスには、エアーズロックに負けない巨大な花崗岩の一枚岩が存在する。それが、Enchanted Rock(エンチャンテッド・ロック)である。

テキサス州の州都オースティンから西に二時間弱、平らな大地が広がるテキサス州の中では珍しく、比較的高低差の多い丘陵地帯の一角が、Enchanted Rock State Natural Areaという州立公園となっている。週末に訪れると、州立公園の入り口には、入場待ちの車が長蛇の列をなしている。それもそのはず、同公園のウェブサイトによると、ここは年間で25万人が訪れるテキサスでも最も人気の州立公園の一つだと言う。IMG_1367

一時間程待って漸く入場口にたどり着き、大人一人7ドルの入場料を払って、駐車場に車を停めると、程なくして、巨大な一枚岩に続くトレイルが見えてくる。周囲に何もないことで、その巨岩の存在感は際立っている。高さは425フィート(約130メートル)程だというが、下から見上げると、より高く感じられる。IMG_1372

トレイルの入り口から頂上までは20分程の山歩き。ロープやクサリなどはないが、比較的傾斜が緩やかなので、スニーカー等を履いていれば、女性や子供でも快適に歩ける道だ。アメリカらしく犬を連れて歩いている人々も多い。また、トレイルの途中には、いくつもの奇岩が現れ、歩く人々を飽きさせない。IMG_1377

そして、山頂。どの方向を向いても地平線まで見渡せる360度の大パノラマが広がっており、登ってきた疲れを忘れ、目の前の景色に夢中になってしまう。平坦なテキサス州でここまで広大な景色が見れる場所はあまりないと思う。訪問者達は写真を撮ったり、瞑想にふけったり、思い思いの時間を過ごしている。IMG_1388 (2)

この場所がEnchanted Rock(魔法にかけられた岩)と呼ばれるのには理由がある。何とこの場所は夜になると、ギーギーと声を出したり、うなり声を上げるのだ。更に山頂では幽霊の炎が見えることまであり、トンカワ族をはじめとした地元のネイティブアメリカンからは、長年畏怖の対象となっていた。公園のウェブサイトによると、うなり声は日中に太陽の熱で温められた岩が、夜になって気温が下がり収縮することで起こるという。また、幽霊の炎は、雨が降った後の晴れた夜、岩の上の雨水が反射するのが幽霊の様に見えると考えられている。

しかし、である。昔のネイティブアメリカンでなくとも、この場所に立った者は周囲の自然に対するある種の畏敬の念を感じずにはいられない。例えば、山頂付近にはいつも強風が吹きつけ、人間がここに長く留まることを拒んでいるかの様だ。そして何より、夕暮れ時になった時、遮るものが何もない中、地平線に沈む太陽は何とも神々しい。(なお、下の写真は麓から撮ったものです。)IMG_0041

 

私達は時間の都合でできなかったが、公園内には広いキャンプ場もあり、多くのアメリカ人達がテントを張っていた。夜のうなり声や幽霊の炎を確かめるためにも、機会があればぜひ宿泊してみたい場所だ。

そして、ヒューストンからEnchanted Rockまで長時間運転してくれた友人夫婦に大感謝です!

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ガルベストンのマルディグラのお祭り

アメリカでMardi Gras(マルディグラ)のお祭りと言えば、ルイジアナ州ニューオーリンズのものが有名だが、ここテキサス州でも、メキシコ湾に面した町ガルベストンで、全米で三番目に大きなマルディグラのお祭りが開催されている。今回はその魅力に迫ってみたい。

そもそもマルディグラというのは、フランス語で「太った火曜日」を意味し、もともとキリスト教カトリックにおいて重要な日である四旬節の前日を意味する。厳格なカトリックにおいては、四旬節に入ると食事の制限や祝宴などの快楽を自粛するため、その直前までの一定の期間に渡って、派手なカーニバルを行い、心も体も満たしておくというわけだ。カーニバルは太った火曜日にその絶頂を迎えるが、アメリカ南部では、太った火曜日当日だけでなく、カーニバル期間中のイベント全体がマルディグラと呼ばれている。

ガルベストンのマルディグラの歴史は古く、2016年の今年で105回目を数える。マルディグラ期間になると、パレードの順路になっている家々では、マルディグラを象徴する色である紫、緑、金色で飾り付けが行われる。紫は正義、緑は信頼、金は権力を意味しているという。IMG_1291

この三色は、家の装飾だけでなく、マルディグラに関わる色々な物を通して使用されており、通りを歩けば、三色をベースにした派手な衣装で着飾った人々にも出会える。IMG_1285

マルディグラの主役は何と言ってもパレードだ。Krew(クルー)と呼ばれる団体がそれぞれ思い思いにド派手に装飾した山車(フロートと呼ばれる)を造り、市内を練り歩く。昼過ぎにガルベストンの海岸沿いの通りを歩くと、いくつものフロートがひしめき、自分達の出番を今か今かと待っていた。IMG_1286

そして、夜になると、祭りは最高の盛り上がりを迎える。パレードが始まると、まず地元の各高校のマーチングバンドが日頃の練習の成果を披露する。彼らはこの日のために何ヶ月も練習を積んでいるそうで、高校生とはいえレベルは高い。IMG_1308

次に、昼間も派手さが際立っていた各フロートが、過剰なまでの電飾で怪しい光を放ちながら通りを練り歩く。IMG_1306

フロートからは沿道に対して、次々と紫、緑、金色のどれかの色をしたビーズの首飾りが投げられ、観光客達は手を伸ばしてビーズを奪い合う。ビーズを受け取った者は皆首に次々とかけていくため、パレードが終わる頃には観光客達は、何重にもかけられた首飾りで、まるでヒップホップのラッパーの様ないでたちになる。IMG_1315

IMG_1301普段は異なる生活環境にいる人達がこの日ばかりは分け隔てなく、子供の様に夢中になってビーズを集める。祭りの熱狂の中で、いつしか日頃のうっぷんもどこかに消えていく様な心地よいひと時だ。

日本ではあまり知られていないお祭りではあるが、カトリック教徒の多いアメリカ南部では多くの町で、その町ならではのマルディグラで盛り上がっている。マルディグラ期間中にアメリカ南部を訪れることがあれば、ぜひご当地マルディグラの魅力を発見して頂きたい。

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オフロ文化は海を越える!? テキサス州の健康ランド

アメリカでの出張時にホテルに宿泊する際、しばしばがっかりさせられるのが浴室だ。シャワーのみのこともしばしばで、たまに浴槽があれば一瞬は嬉しくなる。しかし、そうした浴槽も体をゆったりと横たえるには狭すぎたり、お湯を張り終わる頃には水に変わっていて、ぬる過ぎて入れなかったりする。

そんな中、テキサス州の主要都市の一つダラスには、日本の健康ランドに近い、日本人にとってオアシスの様な場所がある。それがKing Spaだ。IMG_1269

館内にはまず、大きな浴室があり、温度の異なる数種類の風呂とジャグジーをゆったりと楽しむことができる。また、風呂の横には水蒸気のサウナも備え付けられ、アメリカ人達と一緒にじっと座って汗を流せる。テキサス州に来て以来、ここには何回か訪問しているが、最初はアジア系の客層が多かったのが、年々白人や黒人のアメリカ人の比率が増えている気がする。それでもまだ、下着を着たまま浴室に入ってきて、戸惑いながら下着を脱ぐアメリカ人がいたりして微笑ましい。また、ここではタトゥーもお咎めなしだ。

風呂から上がると、利用客は皆、支給されたTシャツとハーフパンツに着替えて、広いラウンジでゆっくり過ごす。IMG_1264

特筆すべきなのは、その施設の多さで、食堂や売店、仮眠室、インターネットスペース、果ては映画ルームまである。実はここは、日本の健康ランドではなく、韓国系アメリカ人によって経営される、韓国のチムジルバンという健康ランドの一種を輸入した施設だ。日本の健康ランドとの大きな違いとして、ここには遠赤外線サウナ、岩盤サウナ、岩塩サウナなど、日本よりも豊富な各種のサウナがあり、入浴後にも思い思いにリラックスした時間を過ごすことができるのだ。IMG_1268

変り種で言えば、どういった効果かはよくわからないが、黄金に彩られたピラミッドサウナなるものまである。IMG_1267

 

料金としては、24時間までは何時間でも滞在できる入場料金が45ドルとなっている。数年前と比べるとだいぶ値上がりしたが、ここの利用客の多くは施設内のラウンジや仮眠室で寝て一夜を明かすことを想定しており、普通のホテルと比べれば、まだ十分に安い。また、追加料金を払えば、韓国式のアカスリのサービスも受けられ、更にたまった汚れを落とすことができる。

私の住むヒューストンで言えば、韓国系人口は日系の10倍、中国系人口は韓国系のさらに10倍と言われるが、ダラスではさらに韓国系の人口が多いという。日本を遠く離れてアメリカに長く住み、ハンバーガーやステーキに疲れた時、ありがたいのはそうした韓国系や中国系住民が経営する施設だ。日本にいる時は隣国との違いを意識することもしばしばだが、アメリカではむしろ文化的な類似性を再認識する。ここKing Spaでも、日本で健康ランドやスーパー銭湯を利用するのと同じ様な感覚で、日頃の疲れを癒すことができる。

そうした東アジア共通のオフロ文化が、今後もアメリカに広がっていくことを期待したい。

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